Fed金利の確率を先物価格から読む方法
Fed金利の確率は先物価格からどう分かるのでしょうか。月平均金利と日数分割の計算を、2025年9月の会合で詳しく説明します。
Fedの利上げ・利下げ確率は、アンケートではなく価格から読み取る。その価格を担うのが30日物フェデラルファンド先物で、暦月中の平均実効フェデラルファンド金利を100から差し引いた値で決済される。一つの価格が示すのは月全体の平均であるため、特定の会合の確率を取り出すには、その月を新しい金利が適用される前の日数と後の日数に分け、未知の部分を解く必要がある。このページでは、2025年9月という過去の特定の会合を用いて計算過程を示し、すべての前提を書き出す。したがって、ここにある数値は何年後でも手計算で再現できる。
フェデラルファンド先物の決済対象
フェデラルファンド先物は、暦月一カ月を対象とする。最終決済価格は、月内のすべての暦日について、銀行が実際に翌日物で準備金を貸し借りする金利である実効フェデラルファンド金利の日次算術平均を100から差し引いた値となる。週末と祝日には、直前の営業日の金利が適用される。価格95.74は、平均金利4.26%に相当する。
以下の四つの特徴が、後述する計算の基礎となる。
- 月内の特定日の金利水準ではなく、月全体の平均を価格に織り込む。17日の決定は、契約の一部の日数にしか影響しない。
- 政策金利目標レンジの中央値ではなく、レンジ内で推移する実効金利を価格に織り込む。中央値を基準にしたトラッカーは、実効金利を基準にしたものとは出発点が異なる。
- すべての結果を一度に加重した期待値を価格に織り込む。確率は、前提を置いたうえで取り出すものであり、契約が直接提示するものではない。
- 営業日ではなく暦日で平均する。そのため、以下の日数分割には週末も含まれる。
一つの先物価格をFed金利の確率に変換する方法
2025年9月の会合を例にする。決定は9月17日水曜日に発表され、新しい目標金利は翌日から適用された。9月は30日あるため、1日から17日までは旧金利、18日から30日までは新金利で決済される。この17日と13日の分割が、計算全体の基礎となる。
以下の四つを前提とする。いずれも説明用であり、変更できるよう明記している。
- 会合前の実効金利は4.33%
- 9月限の価格は95.74
- 市場は、据え置きまたは25ベーシスポイントの利下げという二つの結果を織り込む
- 月中に予定外の変更はない
計算は四段階で進む。
- 価格から月平均を求める。100から95.74を引くと4.26%となる。
- 最初の17日分は既知である。4.33%の17/30は2.4537となる。
- 残りの13日分を求める。4.26から2.4537を引くと1.8063となり、これに30/13を掛けると4.17%となる。これが月後半の期待実効金利である。
- 金利差を確率に変換する。二つの結果では、月後半の金利は4.33%と4.08%の加重平均となる。4.17%はこの上限から0.16ポイント低く、0.25ポイントの差で割ると0.64となる。したがって、利下げ確率は64%とみなせる。
価格を変えれば結果も変わる。想定する利下げ幅を変えれば、結果はさらに大きく変わる。この計算過程に独自性はなく、ベンダーの確率ウィジェットも必要ない。
フロントエンドの他の市場も、単位を変えて同じ期待を示していた。以下は、その会合を挟む二カ月間における、最も短期の三つの米国債ベンチマークである。
各数値の背後にある正確なSQL
SELECT date,
round(toFloat64(yield_3_month), 2) AS yield_3m_pct,
round(toFloat64(yield_1_year), 2) AS yield_1y_pct,
round(toFloat64(yield_2_year), 2) AS yield_2y_pct
FROM global_markets.treasury_yields
WHERE date >= toDate('2025-08-15')
AND date <= toDate('2025-10-15')
AND yield_3_month IS NOT NULL
AND yield_1_year IS NOT NULL
AND yield_2_year IS NOT NULL
ORDER BY date3カ月物Tビルの利回りは、2025年8月中旬の期間開始時点で4.3%、10月中旬の終了時点で4.03%となり、42セッションにわたって推移した。一つの会合ではなく複数の会合を平均する1年債利回りは、同じ二つの時点で3.93%と3.61%となり、いずれもTビルを下回った。1年債利回りが3カ月物を下回るのは見方ではなく算術上の結果である。長期の証券には、市場が低下を見込む月の金利が平均として織り込まれるためだ。
二つの市場でFed金利の確率が異なる理由
イベント契約は確率を直接示す。特定の会合後に目標レンジが低下するかどうかを対象とする市場では、価格が0から100の範囲で取引され、その価格が取引コスト控除前の確率となる。イベント契約価格を確率として読む方法では、この変換を解説している。オプションも、別の形で同じ情報を含む。コールのデルタは、原資産が満期時に行使価格を上回るリスク中立確率の近似値となる。そのため、オプションチェーンは単一の数値ではなく、分布全体を示す。以下は、長期米国債ETFであるTLTについて、2025年9月15日月曜日に観測したチェーンである。満期は会合をまたぐ同月19日金曜日だった。
各数値の背後にある正確なSQL
SELECT round(toFloat64(strike_price), 0) AS strike,
round(avg(delta) * 100, 1) AS implied_prob_above_pct,
round(avg(implied_volatility) * 100, 1) AS implied_vol_pct,
sum(volume) AS contract_volume
FROM global_markets.options_greeks
WHERE underlying_symbol = 'TLT'
AND date = toDate('2025-09-15')
AND expiration_date = toDate('2025-09-19')
AND delta > 0
AND iv_converged = 1
AND volume > 0
AND abs(toFloat64(strike_price) / toFloat64(underlying_close) - 1) < 0.06
GROUP BY strike
ORDER BY strike左から右に読む。$85の行使価格では、平均デルタは97.8%だった。これは、4日後に価格がその水準を上回って終わる市場の概算確率である。$95では、同じ指標が1.4%となった。両者の間にある9の行使価格を通る曲線が分布を示し、チェーンの平均インプライド・ボラティリティは、低い行使価格で28.7%だった。
異なる市場の数値が一致しない理由は四つある。
- 決済対象。 先物は一カ月の実効金利を対象に決済される。イベント契約は一日に発表された目標レンジを対象に決済される。オプションは価格を対象に決済される。問いが異なれば、答えも異なる。
- スプレッド。 62のビッド、66のアスクで提示されたバイナリー契約は、二つの確率を示す。64%という中間値は慣行上の数値であり、4ポイントの幅全体が取引コストの範囲内にある。
- 期待値は確率ではない。 25ベーシスポイントの利下げ確率が90%の場合と、25ベーシスポイントの利下げ確率が70%、50ベーシスポイントの利下げ確率が10%の場合は、いずれも平均22.5ベーシスポイントの緩和となる。一つの先物価格だけでは、まったく異なる二つのシナリオを区別できない。
- 手数料と証拠金。 同じ見方を先物取引所とイベント市場で表現しても、コストは異なる。提示価格も、おおむねその差に応じて離れる。
会合を連ねて金利パスを作る
一つの契約から得られるのは、一カ月の平均金利である。契約を積み重ねると、金利パスが見えてくる。10月限のインプライド平均金利から、9月の決済結果によって固定された部分を差し引けば、10月会合後の期待金利が得られる。同じ計算を限月ごとに繰り返す。各段階は、その一つ前の段階で置いた前提を引き継ぐため、先の限月へ進むほど小さな誤差が積み重なる。
米国債カーブも、独自の単位でこのパスを織り込む。1年債利回りは、おおむね今後1年間に予想される翌日物金利の平均に、デュレーション保有の対価であるタームプレミアムを加えたものとなる。1年債と3カ月物の差は、連続する金利パスを一つの数値に圧縮したものだ。
各数値の背後にある正確なSQL
SELECT toStartOfMonth(date) AS month,
round(avg(toFloat64(yield_3_month)), 2) AS yield_3m_pct,
round(avg(toFloat64(yield_1_year)), 2) AS yield_1y_pct,
round(avg(toFloat64(yield_2_year)), 2) AS yield_2y_pct,
round((avg(toFloat64(yield_1_year)) - avg(toFloat64(yield_3_month))) * 100, 0) AS path_spread_bps
FROM global_markets.treasury_yields
WHERE date >= toDate('2024-01-01')
AND date <= toDate('2026-06-30')
AND yield_3_month IS NOT NULL
AND yield_1_year IS NOT NULL
AND yield_2_year IS NOT NULL
GROUP BY month
ORDER BY month2024年1月から2026年6月までの30カ月について月平均で集計すると、3カ月物Tビルの利回りは、パネルの最初の月に5.45%、最後の月に3.81%となった。1年債と3カ月物のスプレッドは、開始時に-66ベーシスポイント、終了時に10ベーシスポイントだった。ここがマイナスであることは、今後1年間の平均翌日物金利が現在を下回ると市場が織り込んでいることを示す。2年債の列は、より長い期間について同じ期待を示す。2s10sスプレッドはその時点のカーブを読み取り、2026年の米国債カーブは今年前半までの全系列を追っている。
Fedの決定はすでに織り込み済みか
この問いには、測定可能な答えがある。以下は、2025年の各決定日までの5セッションにおける、最も短期の二つのベンチマークの変化である。
各数値の背後にある正確なSQL
WITH d AS (
SELECT date,
toFloat64(yield_3_month) AS m3,
toFloat64(yield_1_year) AS y1,
lagInFrame(toFloat64(yield_3_month), 5) OVER (ORDER BY date ROWS BETWEEN 5 PRECEDING AND CURRENT ROW) AS m3_five_before,
lagInFrame(toFloat64(yield_1_year), 5) OVER (ORDER BY date ROWS BETWEEN 5 PRECEDING AND CURRENT ROW) AS y1_five_before
FROM global_markets.treasury_yields
WHERE date >= toDate('2024-11-01')
AND date <= toDate('2025-12-31')
AND yield_3_month IS NOT NULL
AND yield_1_year IS NOT NULL
)
SELECT concat(formatDateTime(date, '%b'), ' ', toString(toDayOfMonth(date))) AS meeting,
round((m3 - m3_five_before) * 100, 1) AS m3_change_bps,
round((y1 - y1_five_before) * 100, 1) AS y1_change_bps
FROM d
WHERE date IN (toDate('2025-01-29'), toDate('2025-03-19'), toDate('2025-05-07'),
toDate('2025-06-18'), toDate('2025-07-30'), toDate('2025-09-17'),
toDate('2025-10-29'), toDate('2025-12-10'))
ORDER BY dateJan 29に向けて、1年債利回りはその週に-3ベーシスポイント動き、Dec 10に向けては、パネル内の8の決定日にわたり1動いた。それぞれの数値を、一つの政策変更幅である25ベーシスポイントと比較する。1週間の変化が一段階の小さな一部にとどまる場合、その結果は週の開始前に織り込まれていた。反対に、変化が一段階の大きな部分を占める場合、その週には金利カーブがまだ平均化していなかった材料が含まれていた。2026年下期に入る時点のマクロ環境では、現在のフロントエンドについて同じ分析を行っている。
計算が機能しなくなる場面
- 会合が一度もない月もあり、その場合、契約が織り込むのは持ち越された金利だけとなる。会合が二度ある月では、日数の分割が三つの加重に変わる。
- 金利が予定された日だけに変更されると仮定している。予定外の変更も起こる。2020年3月の急落では、三週間以内に二度の変更があった。
- 確率への変換では、25ベーシスポイントの変更幅を前提として割り算する。50ベーシスポイントの結果が相応の確率で分布に含まれる場合、一つの数値では分布の形を表せない。
- 金利カーブの先へ進むほど流動性は低下し、1年以上先の契約ではスプレッドが広がる。そのため、インプライド金利パスの遠い部分は、近い部分より精度が低い。
- 米国債の指標には、直接観測できないタームプレミアムが含まれる。そのため、カーブから推定する金利パスにも、観測不能な要素が残る。同じフロントエンドは現金の保管先にもなる。余剰資金の置き場所では、貯蓄する側から検討している。
Fed金利確率に関するFAQ
フェデラルファンド先物は、どのように利下げ確率を示すのか
100から価格を引くと、その限月について先物が示す平均実効金利が得られる。新しい金利が適用される前の日数には現在の金利を掛け、残りの日数が負担する金利を解く。そのうえで、現在の金利からの乖離を一段階の政策変更幅で割る。上記の2025年9月の計算では、価格95.74を前提に64%となる。
Fedの確率トラッカーはなぜ一致しないのか
異なる慣行から出発するためである。一つは実効金利を基準にし、別のものは目標レンジの中央値を基準にする。バイナリーのイベント市場はビッド・アスク・スプレッド控除後の確率を提示し、オプションチェーンは目標レンジではなく価格に関する問いに答える。
先物価格だけで50ベーシスポイントの変更確率を求められるか
それだけでは求められない。先物価格は単一の期待値であり、同じ期待値を持つ分布は複数存在する。25ベーシスポイントの利下げ確率が90%の場合と、25ベーシスポイントの利下げ確率が70%、50ベーシスポイントの利下げ確率が10%の場合は、いずれも平均22.5ベーシスポイントとなる。両者を分離するには、別の金融商品が必要になる。
市場が織り込むFedの金利パスは、どこまで先まで読めるか
フェデラルファンド先物は1年を大きく超える月まで上場されている。ただし、先へ進むほど気配値は薄くなるため、金利カーブの遠い部分は推定幅が広い。長期については米国債カーブの方が安定して情報を示すが、利回りにはタームプレミアムが混在する。
インプライド確率が高ければ、その変更は実現するのか
そうとは限らない。それは、どの結果が起こり得るかという前提の下での価格であり、期待値である。データが入るたびに修正される。示しているのは、市場が現在支払っている価格であって、委員会が何を決定するかではない。
上記の各パネルは、同じ過去の記録を対象にした保存済みクエリである。各パネルの下にあるSQLを開けば、Strasmoreターミナルで別の会合について同じ計算を実行できる。