Level 1・2・3マーケットデータの違い
Level 1・2・3のマーケットデータを、実際の気配パネルで解説します。最良気配、価格別の板の厚み、注文単位の情報、個人向け配信で省かれる内容を比較します。
Level 1とLevel 2のマーケットデータの違いは、注文板をどこまで閲覧できるかという点にあります。Level 1は板の最上段です。最良買い気配、最良売り気配、それぞれの気配数量、直近約定を確認できます。Level 2は、その最上段の下にある板の厚みです。表示されているすべての価格水準と、各水準に残る合計数量を示します。Level 3では、個々の注文を固有の識別子付きで確認できます。各レベルには、その下位レベルの情報がすべて含まれます。
Level 1のマーケットデータとは
Level 1、つまり板の最上段が答えるのは、「現在利用できる最良価格はいくらで、そこにどれだけの数量が提示されているか」という問いです。米国株では、この情報を統合したものが全米最良買い気配・売り気配(NBBO)です。NBBOについては、NBBOとは何かを解説したガイドで詳しく説明しています。Level 1の記録には、最良買い気配、最良売り気配、それぞれの表示数量が含まれます。約定側では、直近約定とその数量も含まれます。2番目に有利な価格や、誰が気配を出しているかは分かりません。
このレベルで中心となる指標は二つです。セント単位のスプレッドと、ベーシスポイント単位のスプレッドです。一ベーシスポイントは一パーセントの百分の一です。下のパネルは、大型株一銘柄について、特定の一セッションの両方の数値を示しています。対象時間は、東部時間午前4時のプレマーケット開始から、東部時間午後8時の時間外取引終了までです。
各数値の背後にある正確なSQL
SELECT
formatDateTime(
toStartOfInterval(toTimeZone(sip_timestamp, 'America/New_York'), INTERVAL 30 MINUTE),
'%H:%i'
) AS et_time,
round(avg(toFloat64(ask_price) - toFloat64(bid_price)) * 100, 2) AS spread_cents,
round(avg((toFloat64(ask_price) - toFloat64(bid_price))
/ ((toFloat64(ask_price) + toFloat64(bid_price)) / 2)) * 10000, 2) AS spread_bps
FROM global_markets.cache_stocks_quotes
WHERE ticker = 'AAPL'
AND sip_timestamp >= '2026-06-17 08:00:00'
AND sip_timestamp < '2026-06-18 00:00:00'
AND bid_price > 0
AND ask_price > bid_price
AND (toFloat64(ask_price) - toFloat64(bid_price)) / toFloat64(bid_price) < 0.05
GROUP BY et_time
ORDER BY et_time04:00 ET時点では、平均気配スプレッドは37.38セント、または12.51ベーシスポイントでした。パネル最後の区間である19:30 ETでは、平均16.85セント、または5.67ベーシスポイントでした。32の30分区間で一日の全体像を示しています。グラフ上のすべての点がLevel 1です。板の一行を繰り返し観測した結果です。
Level 2のマーケットデータとは
Level 2は、マーケット・バイ・プライスまたは板の厚みとも呼ばれます。最上段の下にある価格の階層を示します。各価格について、そこに残る表示数量を合計します。例えば、49.98ドルに4,000株の買い、49.97ドルに1,200株、49.96ドルに900株、49.95ドルに2,500株がある、といった形です。売り側にも同じような情報が表示されます。トレーダーが「板の厚み」と呼ぶのは、この形状です。
Level 2で分からないのは、数量の内訳です。49.98ドルの4,000株が一つの機関投資家の注文でも、個人投資家40人の注文でも、板上の表示は同じです。
公開された約定データから、関連する別の形状を測定できます。株式が実際にどの価格水準で売買されたかです。気配の階層は待機中の注文を示します。下のパネルは、同じセッションの30分間について、実際に約定した出来高を示しています。
各数値の背後にある正確なSQL
SELECT
toString(px) AS price_level,
round(sum(sz) / 1000, 1) AS shares_thousands,
count() AS prints
FROM
(
SELECT
round(toFloat64(price), 2) AS px,
toFloat64(size) AS sz
FROM global_markets.stocks_trades
WHERE ticker = 'KO'
AND sip_timestamp >= '2026-06-17 14:30:00'
AND sip_timestamp < '2026-06-17 15:00:00'
AND price > 0
AND size > 0
)
GROUP BY px
ORDER BY pxこの30分間の取引は63の異なる価格水準に分布していました。安値側は$79.42、高値側は$80.04でした。両端の価格水準の数量は少なく、安値側は0.1千株、高値側は0.8千株でした。出来高の大半は、その間の価格水準で約定しています。Level 1フィードでは、この全期間について一度に一つの価格しか表示されません。Level 2フィードでは、約定後の結果ではなく、待機中の注文として価格の階層を事前に確認できます。
Level 3のマーケットデータとは
Level 3、つまりマーケット・バイ・オーダーは、完全な情報です。待機中の注文を一件ずつ表示し、それぞれについて識別子、価格、数量、価格ごとのキュー内の順位を示します。Level 3フィードを価格ごとに集計すれば、Level 2を再構築できます。買い側と売り側の最良価格だけを取り出せば、Level 1になります。
Level 3は、集計された下位レベルでは分からない二つの点を示します。一つは、ある価格で注文が列のどこに位置するかです。その順位によって、その価格で取引が成立した際に約定するかどうかが決まります。もう一つは、特定の注文が発注から取消までの過程でどうなったかです。Nasdaq TotalView-ITCHなどの取引所独自フィードは、この深い情報を提供します。統合テープは提供しません。
個人投資家向けのLevel 2購読で実際に得られるもの
ここでは「Level 2」という名称の意味が曖昧です。個人向けプラットフォームの「Level 2」は、全米の板の厚みを完全に示すものではないことがほとんどです。通常は、一つの取引 venue の板です。多くの場合、ブローカーが注文を回送する venue が対象です。または、片側につき5または10の価格水準に制限された統合板です。1セント刻みで気配が出る銘柄の10段板は、10セントの価格範囲をカバーします。取引が活発な銘柄では、その範囲が常に更新されます。
レベル間の価格差が大きい理由の一つは、メッセージ量です。下のパネルは、同じセッションの1時間について、著名銘柄5銘柄の板の最上段における気配記録数と、それぞれの平均スプレッドを示しています。
各数値の背後にある正確なSQL
SELECT
ticker AS symbol,
round(avg((toFloat64(ask_price) - toFloat64(bid_price))
/ ((toFloat64(ask_price) + toFloat64(bid_price)) / 2)) * 10000, 2) AS spread_bps,
count() AS quote_update_count
FROM global_markets.cache_stocks_quotes
WHERE ticker IN ('SPY', 'AAPL', 'MSFT', 'NVDA', 'KO')
AND sip_timestamp >= '2026-06-17 14:00:00'
AND sip_timestamp < '2026-06-17 15:00:00'
AND bid_price > 0
AND ask_price > bid_price
AND (toFloat64(ask_price) - toFloat64(bid_price)) / toFloat64(bid_price) < 0.05
GROUP BY symbol
ORDER BY spread_bpsSPYは5銘柄の中で平均スプレッドが最も狭く、0.32ベーシスポイントでした。一方、KOは平均1.95でした。これらの更新件数は、板の最上段だけを対象としています。板の厚みを示すフィードでは、その下にあるすべての価格水準の変化が加わります。注文単位のフィードでは、さらにそのすべてのメッセージが加わります。オプションは同じ計算の極端な例です。オプションの気配フィードの規模では、その数値を示しています。
表示される板が実際の流動性を過小評価する理由
表示された板は、利用可能な流動性の下限であって、流動性そのものではありません。主に二つの要素が表示外にあります。
非表示注文とリザーブ注文。 アイスバーグ注文は一部だけを表示し、残りをリザーブとして保持します。表示部分が約定すると、次の数量を表示します。板には200株しか見えていなくても、その背後に2万株が存在する場合があります。仕組みについては、アイスバーグ注文の仕組みで説明しています。
取引所外執行。 米国株の出来高の相当部分は、立会取引所の外で約定します。ブローカーの内部化業者や代替取引システムでは、取引前の気配をまったく公表しない場合があります。こうした出来高の行き先については、ダークプール取引の解説で説明しています。
マーケットデータフィードにおけるコンフレーションとは
コンフレーションされたフィードは、すべての更新を送信しません。例えば250ミリ秒ごと、または1秒ごとに板をスナップショットし、その時点の状態を送信します。二つのスナップショットの間に起きたことは届きません。また、異なる間隔で受信する二人の利用者は、それぞれの時計の時点では正確でも、異なる板を目にすることになります。
この違いが最も重要なのは、フィードを基にシステムを構築する場合です。非コンフレーションデータでは、すべてのメッセージが順番どおりに届きます。マッチングエンジンのシミュレーションやキュー順位モデルは、このデータを前提に動きます。コンフレーションされたフィードでは、こうした計算は近似になります。人が目で板を見る場合、更新間隔はほとんど問題になりません。
各数値の背後にある正確なSQL
SELECT
et_time,
round(avg(sec_updates), 1) AS avg_updates_per_second,
max(sec_updates) AS peak_updates_in_one_second
FROM
(
SELECT
formatDateTime(toStartOfMinute(toTimeZone(sip_timestamp, 'America/New_York')), '%H:%i') AS et_time,
toDateTime(sip_timestamp) AS et_second,
count() AS sec_updates
FROM global_markets.cache_stocks_quotes
WHERE ticker = 'NVDA'
AND sip_timestamp >= '2026-06-17 14:00:00'
AND sip_timestamp < '2026-06-17 15:00:00'
GROUP BY et_time, et_second
)
GROUP BY et_time
ORDER BY et_timeその1時間の最初の1分間である10:00 ETには、板の最上段の記録が毎秒平均163.8件届きました。その1分間で最も多かった1秒には、371件の記録がありました。1秒に一度スナップショットを取得するフィードは、この流れの中から一つの板の状態だけを伝えます。これは一銘柄の板の最上段だけの話です。板の厚みや注文単位のフィードでは、件数がさらに増えます。
Level 2のデータに料金を払う価値はあるか
価値は保有期間によって変わります。スプレッド内で注文を執行し、数秒単位でエントリーのタイミングを判断するトレーダーにとって、板の厚みは最上段だけでは分からない情報を提供します。どの価格に数量が積み上がっているか、どちら側の数量が減っているかを確認できます。ただし、前述した非表示流動性のため、この読み取りは完全ではありません。それでも、板がまったくないよりは有用です。
数日から数週間の投資では、10段板から得られる限界的な情報は、コストに比べて小さくなります。Level 1の下位レベルも関係します。通常15分遅れの遅延気配は、多くのプラットフォームで無料です。数日単位の判断には十分です。この慣行の背景については、株価が15分遅れで表示される理由で説明しています。最後に確認すべきなのは配信方法です。一つの venue から配信され、提供業者が更新間隔を公表していないコンフレーションされた板は、部分的な情報をさらに部分的にしたものです。
よくある質問
Level 1とLevel 2のマーケットデータの違いは何ですか
Level 1は、最良買い気配と最良売り気配、それぞれの数量、直近約定を示します。Level 2は、その下にある表示価格水準と各水準に残る合計数量を加えます。そのため、Level 1の情報をすべて含み、さらに多くの情報を提供します。
Level 2のマーケットデータはリアルタイムですか
購読内容によります。取引所の板の厚みを示すフィードはリアルタイムで、有料です。一方、多くの個人向けプラットフォームは、一定間隔でスナップショットを取得するコンフレーション版を提供しています。商品ページにその違いが明記されていないことも多いため、ブローカーのサポート窓口に確認できます。
Level 2では非表示注文を確認できますか
いいえ。板の厚みを示すフィードで分かるのは、表示数量だけです。アイスバーグ注文のリザーブ数量や完全な非表示注文は、約定して取引として記録されるまで板には表示されません。
Level 3のマーケットデータは何に使われますか
Level 3、つまりマーケット・バイ・オーダーでは、待機中の個々の注文を、固有の識別子、価格、数量、キュー内の順位とともに確認できます。主に、執行モデルや注文回送モデルを運用する金融機関向けに販売されています。約定時の経済性がキュー内の順位によって変わるためです。
取引にLevel 2のデータは必要ですか
いいえ。個人向けプラットフォームで注文を発注・管理するには、Level 1の気配と約定テープで十分です。価格の終値ではなく、執行時点の流動性が判断を左右する場合に、板の厚みが役立ちます。
ここで使用したすべてのパネルには、基となるSQLが付属しています。各パネルを開けば、それぞれの数値がどのように集計されたかを正確に確認できます。同じ質問を、Strasmoreターミナル上の任意のtickerと任意のセッションに対して実行できます。