Strasmore Research
学習 Matt Connor著者: Matt Connor

インバースETFの仕組み:SOXS・SQQQは何を保有し、日次リセットで何が起きるか

インバースETF(SH、SQQQ、SOXSなど)はスワップと指数先物で指数の逆の値動きを日次で追う商品です。日次リセットで数週間の保有が経路依存になる仕組みを、SOXSとSOXXの実際の終値から作った表で解説します。信託報酬とスワップ費用という第二のコスト、数日のヘッジという使いどころも整理します。

インバースETFの仕組みは、対象となる株価指数の「1営業日の値動き」を逆向きに、マイナス1倍、マイナス2倍、マイナス3倍で追うことにあります。SH、SQQQ、SOXSといった米国上場のインバースETFは株を借りて空売りしているのではなく、トータルリターン・スワップと株価指数先物で指数の逆のポジションを組み、毎営業日の引けにその大きさを作り直しています。この日次リセットの構造上、数週間以上の保有では「指数が何%動いたか」ではなく「どんな経路で動いたか」が結果を決めます。レバレッジETFの仕組みの続編として、SOXSとSOXXの実際の終値から作った表で、その経路依存を確かめていきます。

インバースETFの仕組み:-1x・-2x・-3xの違い

インバースETF(ベア型ETF、逆連動ETFとも呼ばれます)は、対象指数が1営業日に1%下がった日に、その1倍、2倍、または3倍だけ上がることを目標に設計された上場投資信託です。指数が1%上がれば、同じ倍率だけ下がります。目論見書に書かれている目標はあくまで1営業日の値動きで、1か月や1年の騰落率を逆向きに何倍にするとは約束していません。この商品を理解するうえで、最初に押さえる点はここです。

米国市場で売買代金の大きい銘柄を、対象指数ごとに並べると次のとおりです。

  • S&P 500:SH(-1x)、SDS(-2x)、SPXU(-3x)
  • ナスダック100:PSQ(-1x)、SQQQ(-3x)
  • 半導体指数(ICE Semiconductor Index):SOXS(-3x)
  • ラッセル2000(米国小型株):TZA(-3x)

倍率が大きいほど日々の値幅は大きく、後述する経路依存の影響も加速度的に大きくなります。-1xのSHと-3xのSPXUは同じS&P 500を対象にしていますが、1か月持ったときの「単純計算からのずれ」は倍率とともに急に広がります。本稿は米国上場の商品に限って扱います。

インバースETFは何を保有しているのか:借株ではなくスワップと先物

「指数の逆」と聞くと、構成銘柄を借りて売る空売りを想像しがちですが、インバースETFの中身は別物です。運用会社が日々公開する保有明細を見ると、資産の大半は現金と米国短期国債で、そこにトータルリターン・スワップと株価指数先物が乗っています。

トータルリターン・スワップとは、大手金融機関との契約で、対象指数のトータルリターン(値上がり益と配当)を想定元本に対してやり取りする取り決めです。インバースETFは「指数が上がった分を支払い、下がった分を受け取る」側に立ちます。指数先物も同じ方向、つまり売り建てで持ちます。個別株を1株も借りていないので、個人の空売りで問題になる貸株料の高騰や、株を返すための強制的な買い戻しは起きません。反面、スワップの相手先(カウンターパーティ)が契約を履行できなくなる信用リスクは、この商品固有のものとして目論見書に記載されています。

もう一つの特徴が、毎営業日の引け前に行う再調整です。-3xのファンドは、純資産のちょうどマイナス3倍の想定元本を、その日の終値基準で持ち直します。指数が下がって純資産が増えた日は売り建てを積み増し、指数が上がって純資産が減った日は売り建てを減らします。この作業が「日次リセット」です。ETFの市場価格が純資産価値(NAV)から大きく離れずにいられる仕組みは、ETFの設定と交換の仕組みで扱っています。

日次リセットとは何か:数週間の保有が経路依存になる仕組み

日次リセットの帰結を、仮の数字で確かめます。指数が100から110へ(+10%)上がり、翌日100へ(約-9.1%)戻ったとします。-3xのファンドは初日に30%下がって70になり、翌日は約27.3%上がって70×1.273、つまり約89.1になります。指数は往復して元の水準に戻ったのに、ファンドは約11%減っています。逆の順番、つまり指数が100から90へ下がって100へ戻る場合も、ファンドは130まで上がったあと約33.3%下がり、約86.7で終わります。上下どちらから始めても、往復すると減るのが日次リセットの性質です。

一方、指数が2日続けて5%ずつ下がる(100から95へ、そして90.25へ)と、ファンドは100から115へ、そして132.25へ上がります。指数の2日間の騰落率-9.75%を単純にマイナス3倍した+29.25%(129.25)より大きな結果です。一方向に動く経路には有利で、往復する経路には不利。これが日次リセットの全体像で、上の仮の例はすべて手計算で追える範囲です。

実際の市場で確かめるために、2025年4月のS&P 500と、同じ指数を対象にした3本のインバースETFを並べます。月初の終値から月末の終値までの騰落率を、同じ月のS&P 500連動ETF(SPY)の騰落率に倍率を掛けた「単純計算」と比べています。

クエリ2025年4月:S&P 500のインバースETF(-1x、-2x、-3x)の月間騰落率と単純計算の差
tickerdaily_targetmonth_ret_pctnaive_pctgap_pp
SPY+1x(指数連動)-1.1-1.10
SH-1x-0.11.1-1.2
SDS-2x-2.52.3-4.8
SPXU-3x-7.23.4-10.6
各数値の背後にある正確なSQL
WITH
    (
        SELECT toFloat64(argMax(close, date)) / toFloat64(argMin(close, date))
        FROM global_markets.stocks_daily_aggs
        WHERE ticker = 'SPY'
          AND date >= '2025-04-01'
          AND date <  '2025-05-01'
    ) AS spy_factor
SELECT
    ticker,
    multiIf(ticker = 'SH',   '-1x',
            ticker = 'SDS',  '-2x',
            ticker = 'SPXU', '-3x',
                             '+1x(指数連動)')                                            AS daily_target,
    round((toFloat64(argMax(close, date)) / toFloat64(argMin(close, date)) - 1) * 100, 1)  AS month_ret_pct,
    round(multiIf(ticker = 'SH', -1, ticker = 'SDS', -2, ticker = 'SPXU', -3, 1)
          * (spy_factor - 1) * 100, 1)                                                     AS naive_pct,
    round(month_ret_pct - naive_pct, 1)                                                    AS gap_pp
FROM global_markets.stocks_daily_aggs
WHERE ticker IN ('SPY', 'SH', 'SDS', 'SPXU')
  AND date >= '2025-04-01'
  AND date <  '2025-05-01'
GROUP BY ticker
ORDER BY multiIf(ticker = 'SPY', 0, ticker = 'SH', 1, ticker = 'SDS', 2, 3)
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2025年4月、SPYの月初終値から月末終値までの変化は-1.1%でした。同じ月に-1xのSHは-0.1%、-2xのSDSは-2.5%、-3xのSPXUは-7.2%で終えています。月間騰落率に倍率を掛けた単純計算はそれぞれ1.1%、2.3%、3.4%で、実績との差は-1.2ポイント、-4.8ポイント、-10.6ポイントと、倍率が上がるにつれて広がっています。この差は指数の月初と月末の位置とは別のところ、月の途中の経路から生まれています。

SOXSとSOXXの実際の終値で見る:乱高下の月と一方向の月

半導体は値幅の大きいセクターで、SOXSは-3xです。経路依存が最もはっきり見える組み合わせと言えます。SOXXは同じICE Semiconductor Indexに+1倍で連動するETFなので、ここでは指数の代役として使います。まず2025年3月から8月までの6か月について、SOXXとSOXSの月間騰落率(月初終値から月末終値まで)と、SOXXの騰落率をマイナス3倍した単純計算を並べます。

クエリSOXXとSOXSの月間騰落率と、SOXXをマイナス3倍した単純計算との差(2025年3月から8月)
labelsoxx_ret_pctsoxs_ret_pctnaive_minus3x_pctgap_pp
2025年3月-6.514.819.5-4.7
2025年4月-2.4-34.97.2-42.1
2025年5月11.6-31.6-34.83.2
2025年6月14.7-36.2-44.17.9
2025年7月1-3.5-3-0.5
2025年8月3.4-10.9-10.2-0.7
各数値の背後にある正確なSQL
SELECT
    concat(toString(toYear(date)), '年', toString(toMonth(date)), '月')          AS label,
    round((toFloat64(argMaxIf(close, date, ticker = 'SOXX'))
         / toFloat64(argMinIf(close, date, ticker = 'SOXX')) - 1) * 100, 1)      AS soxx_ret_pct,
    round((toFloat64(argMaxIf(close, date, ticker = 'SOXS'))
         / toFloat64(argMinIf(close, date, ticker = 'SOXS')) - 1) * 100, 1)      AS soxs_ret_pct,
    round(-3 * soxx_ret_pct, 1)                                                     AS naive_minus3x_pct,
    round(soxs_ret_pct - naive_minus3x_pct, 1)                                      AS gap_pp
FROM global_markets.stocks_daily_aggs
WHERE ticker IN ('SOXX', 'SOXS')
  AND date >= '2025-03-01'
  AND date <  '2025-09-01'
GROUP BY toYear(date), toMonth(date)
ORDER BY toYear(date), toMonth(date)
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2025年4月のSOXXは-2.4%、SOXSは-34.9%でした。単純計算なら7.2%のはずで、差は-42.1ポイントです。翌2025年5月はSOXXが11.6%、SOXSが-31.6%で、単純計算の-34.8%との差は3.2ポイントにとどまりました。指数が大きく一方向に動いた5月より、月初と月末を比べれば小さな変化だった4月のほうが、単純計算との差がはるかに大きい。この対比が経路依存の正体です。

乱高下の月:2025年4月の日次トレース

2025年4月は、米国の関税発表の前後で半導体株が急落と急反発を繰り返した月です。月初の終値を100として、SOXX、SOXS、そしてSOXXの月初比をマイナス3倍した単純計算の水準を、毎営業日並べます。

クエリ2025年4月の日次トレース:SOXX、SOXS、単純計算の水準(月初終値=100)
21 rows (showing 20)
session_dateday_labelsoxx_indexedsoxs_indexednaive_minus3x_indexed
2025-04-014月1日100100100
2025-04-024月2日100.697.998.1
2025-04-034月3日90.5127.1128.5
2025-04-044月4日83.7157.2148.8
2025-04-074月7日85.7146.2143
2025-04-084月8日82.3162.4153.2
2025-04-094月9日97.571.5107.4
2025-04-104月10日89.687.9131.3
2025-04-114月11日91.582.4125.5
2025-04-144月14日92.180.9123.7
2025-04-154月15日92.579.7122.6
2025-04-164月16日88.989.1133.3
2025-04-174月17日88.590.7134.6
2025-04-214月21日86.995.5139.2
2025-04-224月22日88.690.1134.2
2025-04-234月23日91.979.8124.2
2025-04-244月24日97.265.9108.3
2025-04-254月25日98.264.2105.5
2025-04-284月28日9864.6106
2025-04-294月29日96.966.7109.2
各数値の背後にある正確なSQL
WITH
    (
        SELECT toFloat64(argMin(close, date))
        FROM global_markets.stocks_daily_aggs
        WHERE ticker = 'SOXX' AND date >= '2025-04-01' AND date < '2025-05-01'
    ) AS soxx_base,
    (
        SELECT toFloat64(argMin(close, date))
        FROM global_markets.stocks_daily_aggs
        WHERE ticker = 'SOXS' AND date >= '2025-04-01' AND date < '2025-05-01'
    ) AS soxs_base
SELECT
    toString(date)                                                                        AS session_date,
    concat(toString(toMonth(date)), '月', toString(toDayOfMonth(date)), '日')             AS day_label,
    round(toFloat64(anyIf(close, ticker = 'SOXX')) / soxx_base * 100, 1)                  AS soxx_indexed,
    round(toFloat64(anyIf(close, ticker = 'SOXS')) / soxs_base * 100, 1)                  AS soxs_indexed,
    round((1 - 3 * (toFloat64(anyIf(close, ticker = 'SOXX')) / soxx_base - 1)) * 100, 1)  AS naive_minus3x_indexed
FROM global_markets.stocks_daily_aggs
WHERE ticker IN ('SOXX', 'SOXS')
  AND date >= '2025-04-01'
  AND date <  '2025-05-01'
GROUP BY date
ORDER BY date
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4月8日の終値でSOXSは162.4まで上がっていましたが、翌営業日の4月9日には71.5へ、1営業日で水準を大きく切り下げています。同じ日、SOXXの月初比をマイナス3倍した単純計算は107.4でした。指数が1日で10%上がれば-3xのファンドは同じ日に30%下がる計算で、日次リセットで膨らんでいた売り建てが、反発の日にそのまま裏目に出る形です。月末の4月30日時点では、SOXXが97.6、SOXSが65.1、単純計算が107.1で終えました。

一方向の月:2025年5月の日次トレース

クエリ2025年5月の日次トレース:SOXX、SOXS、単純計算の水準(月初終値=100)
21 rows (showing 20)
session_dateday_labelsoxx_indexedsoxs_indexednaive_minus3x_indexed
2025-05-015月1日100100100
2025-05-025月2日103.589.989.5
2025-05-055月5日102.791.791.9
2025-05-065月6日101.794.794.8
2025-05-075月7日103.589.989.5
2025-05-085月8日104.487.186.7
2025-05-095月9日105.684.483.1
2025-05-125月12日113.266.260.3
2025-05-135月13日116.460.650.7
2025-05-145月14日11759.849
2025-05-155月15日116.260.951.3
2025-05-165月16日116.161.251.7
2025-05-195月19日115.462.453.8
2025-05-205月20日115.262.754.3
2025-05-215月21日113.166.260.7
2025-05-225月22日112.16863.8
2025-05-235月23日110.371.269
2025-05-275月27日11464.158
2025-05-285月28日113.465.159.7
2025-05-295月29日113.964.458.3
各数値の背後にある正確なSQL
WITH
    (
        SELECT toFloat64(argMin(close, date))
        FROM global_markets.stocks_daily_aggs
        WHERE ticker = 'SOXX' AND date >= '2025-05-01' AND date < '2025-06-01'
    ) AS soxx_base,
    (
        SELECT toFloat64(argMin(close, date))
        FROM global_markets.stocks_daily_aggs
        WHERE ticker = 'SOXS' AND date >= '2025-05-01' AND date < '2025-06-01'
    ) AS soxs_base
SELECT
    toString(date)                                                                        AS session_date,
    concat(toString(toMonth(date)), '月', toString(toDayOfMonth(date)), '日')             AS day_label,
    round(toFloat64(anyIf(close, ticker = 'SOXX')) / soxx_base * 100, 1)                  AS soxx_indexed,
    round(toFloat64(anyIf(close, ticker = 'SOXS')) / soxs_base * 100, 1)                  AS soxs_indexed,
    round((1 - 3 * (toFloat64(anyIf(close, ticker = 'SOXX')) / soxx_base - 1)) * 100, 1)  AS naive_minus3x_indexed
FROM global_markets.stocks_daily_aggs
WHERE ticker IN ('SOXX', 'SOXS')
  AND date >= '2025-05-01'
  AND date <  '2025-06-01'
GROUP BY date
ORDER BY date
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5月のSOXXは、月を通しておおむね上方向に進みました。月末の5月30日時点でSOXXは111.6、SOXSは68.4、単純計算は65.1です。SOXSにとっては大きな下げの月ですが、単純計算との差は4月と比べれば小さく、経路によっては単純計算を上回る月もあります。往復の少ない経路では日次リセットの複利が積み上がる側に働き、往復の多い経路では削る側に働く。2枚のトレースの形が、そのまま教科書になっています。

第二のコスト:信託報酬とスワップの費用

経路依存が第一の減価要因なら、第二はコストです。米国上場の主要なインバースETFの信託報酬(経費率)は、2026年9月時点の各運用会社の開示ではおおむね年0.9%から1.0%台で、低コストの指数連動ETFの10倍前後にあたります。これは日割りで毎日、基準価額から差し引かれます。

スワップには別の費用構造があります。ファンドは指数のトータルリターンを支払う側なので、構成銘柄の配当相当額は受け取りではなく支払いです。一方で売り建てに相当する側でもあるので、想定元本に対する短期金利相当は受け取る側に立ち、担保として持つ短期国債からも利息が入ります。差し引きは短期金利と配当利回りの差から、スワップの相手先に払うスプレッドを引いたものになります。短期金利が高い局面では受け取りが費用を上回ることもあり、ゼロ金利の局面では純コストになります。どちらの局面でも、乱高下の月に日次リセットが生む差と比べれば、コストの寄与は小さい。上の表の4月の差は、そのほとんどが経路から来ています。

インバースETFの使いどころ:数日のヘッジと長期保有の違い

商品設計が想定しているのは短い期間です。運用会社自身が、1営業日を超える保有では目標倍率からずれると明記しています。実務でこの商品が使われる典型的な場面を挙げます。

  • 決算やイベントをまたぐ数日間、現物のポートフォリオを崩さずに下落方向のヘッジ(保有資産の値下がりを別のポジションで相殺すること)を置きたいとき
  • 信用口座を持たない、あるいは空売りができない口座で、短期間だけ逆方向のポジションを取りたいとき
  • 日中の値動きを取引する短期売買で、下方向の値幅を取りたいとき
  • 税務上の理由などで現物を売らずに、一時的に株式の実質的な比率を落としたいとき

いずれにも共通するのは、保有が数日以内に収まる点です。数か月にわたる弱気の見立てをインバースETFで持ち続けると、見立てが当たった月でも経路によっては単純計算を下回り、見立てが外れて指数が往復した月には両方向から削られます。上の表で4月に起きたことは、その典型例です。下落方向に長く備える手段としては、プットオプションやバッファーETF(目標成果型ETF)のように、期間を決めて損益の形を固定する商品が別に存在します。どれを選ぶかは投資家それぞれの判断ですが、インバースETFの日次リセットという性質は、その判断の前提として押さえておく価値があります。

FAQ

インバースETFは空売りと同じですか?

違います。空売りは株を借りて売り、あとで買い戻して返す取引で、損益は売値と買値の差で決まります。インバースETFはスワップと指数先物で指数の逆のポジションを持ち、毎営業日その大きさを純資産の倍率分に作り直します。その構造上、複数日の損益は指数の経路に左右されます。貸株料や強制的な買い戻しはありませんが、日次リセットと信託報酬という別のコストがあります。

インバースETFを長期保有すると価値はゼロに近づきますか?

指数が上下に往復する期間が長いほど、日次リセットが価値を削る回数が増え、信託報酬も日々差し引かれます。一方向に下がり続ける経路では単純計算を上回ることもあるので「必ずゼロに向かう」とは言えませんが、往復のある通常の相場では、保有期間が延びるほど指数の逆倍率からのずれが大きくなります。運用会社も、1営業日を超える保有では目標倍率から乖離すると明記しています。

SOXSとSQQQの違いは何ですか?

どちらも-3xのインバースETFですが、対象指数が異なります。SOXSはICE Semiconductor Index(米国上場の半導体関連銘柄で構成)、SQQQはナスダック100が対象です。半導体指数のほうが日々の値幅が大きい傾向にあり、同じ-3xでも経路依存による減価の速さが変わります。運用会社も異なり(SOXSはDirexion、SQQQはProShares)、信託報酬はそれぞれの目論見書で確認できます。

インバースETFの信託報酬はどのくらいですか?

主要な米国上場インバースETFの経費率は、2026年9月時点の運用会社の開示でおおむね年0.9%から1.0%台です。日割りで毎日差し引かれるので、1か月の保有では0.1%弱の負担にあたります。乱高下の月に日次リセットが生む差(本稿の4月の例では2桁ポイント)と比べれば小さな要因ですが、長期保有では着実に積み上がります。

指数が下がれば、インバースETFは必ず利益になりますか?

なりません。月初と月末を比べて指数が下がっていても、途中で大きな反発を挟んだ経路では、インバースETFの騰落率が指数の逆倍率を下回り、場合によっては指数と同じ方向にマイナスになることもあります。損益は下落の幅と、その途中の値動きの順番の両方で決まります。本稿の4月の日次トレースがその一例です。


本稿の各パネルの下には、数字を出したSQLがそのまま添えてあります。別の月や別の組み合わせ(SQQQとQQQ、SPXUとSPYなど)で同じ表を作りたいときは、Strasmoreのターミナルで期間とティッカーを書き換えて実行してみてください。